たった週に2回しか合わない、2時間半の間に話せることなんて、仕事の事以外出来るわけがない。
話したい気持ちがからぶって、変な事ばかり言ってしまう。
こんな事言うつもりじゃなかったのに、上手く行かず落ち込む日が続いた。
素っ気ない反応に、もう止めよう、無理に話しかけても自分が辛いだけだと諦めかけていた。
そんな時、クリスマスイブの日がタテ君がバイトの日と重なった。クリスマスイブに逢えるだけで嬉しかった。何かお菓子でも渡そうと思った。クリスマスイブに、学校が終わってちゃんと真面目にバイトに来ることが偉いと思った。
お菓子を選ぶのもワクワクした。こんな気持ちは久しぶりだった。170円くらいのシフォンケーキ。ハートの形。アップル味。甘すぎず良いかなぁと思った。
24日の当日、仕事が終わったタイミングに、今日はクリスマスイブです。なので、バイトの子二人にプレゼントがあります!クリスマスイブの日にバイトして偉いねって意味を込めて。良かったら食べて下さい。って渡した。
その時、タテ君の反応が完璧だった。
スッゴく可愛い笑顔で近づいてきて、ありがとうございますって両手で受け取ってくれた。
あんな子供のように無邪気な笑顔を初めて見た。
17歳の男の子の純粋な笑顔に、更に好きになってしまった。
子犬のようだった(笑)
話せない日が殆どで、コミュニケーションなんて取れなくて凹んでたけど、全てが吹き飛んだ気がした。
この笑顔の為なら何にだってなれるとすら思えた。
それ以来、前よりタテ君が笑顔を見せるようになった。そして、優しくなった。
その優しさが男らしく感じた。